ニシンは「春告魚」の名で親しまれ、産卵シーズンの春先には脂がたっぷりのった旬の個体が市場に並びます。独特の旨みと香りが強く、塩焼きにすると皮がパリッと焼けて脂が滴り落ちるほどです。数の子の親魚としても知られ、身の味わいだけでなく、内臓や卵も美味しく食べられる捨てるところのない魚です。今回は、うちの魚屋でも長年扱ってきたニシンの魅力を最大限に引き出す、おすすめレシピを5つ紹介します。
ニシンの捌き方をYouTubeでも動画で解説しています。ぜひ合わせてご覧ください。
【①ニシンの塩焼き】
ニシンの塩焼きは、シンプルながら最も魚の旨みを感じられる食べ方のひとつです。三枚おろしにした身、または腹開きにした状態に薄く塩を振り、15〜20分ほど置いて余分な水分を出します。出てきた水分はキッチンペーパーで丁寧に拭き取りましょう。グリルやフライパンで中火から強火でじっくり焼くと、皮がパリッと香ばしく仕上がります。
ニシンは脂が多いため、焼いていると煙が出やすいですが、それだけ旨みが強いということです。うちの魚屋では「脂の煙が出てきたら本物のニシンの証」とお客さんに伝えています。大根おろしと醤油を添えると、さっぱりとした味わいになりよく合います。
【②ニシンの煮付け】
ニシンの煮付けは、甘辛いタレが脂のりのよい身によく染みて、ご飯が進む一品です。醤油・みりん・酒・砂糖・水を合わせた煮汁を沸騰させたら、下処理済みのニシンを加え、落とし蓋をして中弱火で10〜15分ほど煮ます。生姜を加えると臭みが取れ、風味がよくなります。
煮汁が少なくなってきたら全体にからめるように煮詰め、とろりとしたタレをまとわせて完成です。ニシンの煮付けは冷めても美味しいので、作り置きのおかずとしても重宝します。お弁当のおかずにも使いやすい一品です。
【③ニシンの南蛮漬け】
揚げたニシンを甘酢に漬け込む南蛮漬けは、旬の時期にまとめて作っておける保存食としても優秀です。三枚おろしにして片栗粉をまぶしたニシンをカラッと揚げ、酢・砂糖・醤油・みりんを合わせた漬け汁に漬け込みます。玉ねぎや人参、ピーマンを一緒に漬けると彩りよく仕上がります。
揚げたてをすぐ漬け汁に入れるのがポイントで、熱いうちに漬けることで味がよく染み込みます。ニシンは小骨が多い魚ですが、揚げることで骨がやわらかくなり食べやすくなります。冷蔵庫で2〜3日保存できるので、週の作り置きとしてもおすすめです。
【④ニシンそば風の甘辛煮】
京都のニシンそばから着想を得た、甘辛く煮たニシンをそばやうどんに乗せる食べ方はとても美味しいです。醤油・みりん・砂糖で甘めに煮た身をそばの上に乗せ、ネギを散らせば完成です。身欠きニシンを使うのが伝統的ですが、生のニシンをしっかり煮付けて乗せるだけでも十分に再現できます。生のニシンで作る場合は少し濃いめの味付けにすると、汁の薄さとのバランスがよくとれます。うちの魚屋でニシンを販売するとき、この食べ方を紹介すると「やってみます」と言ってくれるお客さんが多く、毎年好評です。
【⑤ニシンの刺身】
鮮度のよいニシンは刺身でも食べることができます。市場に出回るニシンは鮮度管理がされていますが、刺身にする際はとくに新鮮なものを選ぶことが大切です。三枚おろしにして腹骨と血合い骨を丁寧に取り除き、皮を引いて薄く切ります。独特の青魚らしい風味と、脂のりのよい甘みが感じられる一品で、醤油・わさびでシンプルに食べるのが最もよく合います。生姜醤油も好相性ですので、お好みで試してみてください。ニシンを刺身で食べる機会はあまり多くないかもしれませんが、鮮度のよいものが手に入ったときはぜひ一度試してみてください。
【まとめ】
ニシンは塩焼きや煮付けといった定番料理から、南蛮漬けや刺身まで、幅広い食べ方が楽しめる魚です。春の旬の時期に脂がのった新鮮なニシンが手に入ったときは、ぜひ今回紹介したレシピを参考にしてみてください。うちの魚屋でも毎年春になるとニシンが入荷するたびに、「今日は特に脂がのってますよ」とお客さんに声をかけるほど、この季節ならではの旨みが楽しめる魚です。ニシンの美味しさをたっぷり堪能してください。
アニサキスがいる魚介類は一度マイナス18度以下で24時間冷凍して下さい。
魚の捌き方はおととチャンネルで解説しています。
https://youtube.com/channel/UCKgZWNzDVFenWKZGgvUjO6A
