アサバガレイは北の海でとれる白身のカレイで、煮付けや干物、唐揚げにすると絶品です。クセのない上品な白身は子供からお年寄りまで食べやすく、家庭の食卓にもなじみ深いカレイです。スーパーでは切り身で売られていることも多いですが、丸ごと一尾を捌けるようになると料理の幅がぐっと広がります。今回は、このアサバガレイの捌き方を、魚屋の現場で培った手順とコツを交えて丁寧に解説していきます。
アサバガレイの捌き方をYouTubeでも動画で解説しています。ぜひ合わせてご覧ください。
【アサバガレイを捌く前に知っておきたいこと】
アサバガレイは体長20センチから40センチほどになるカレイで、平たい体に小さなうろこがびっしりついています。皮はやや厚めで丈夫、身はしっかりとした白身です。カレイは体が平たいため、丸い魚とは少し捌き方が違い、「五枚おろし」という独特の手順になります。とはいえ、骨の構造を理解すれば難しくありません。うちの魚屋では、煮付け用なら丸ごとか半身、刺身や唐揚げ用なら五枚おろしと、用途に応じて捌き分けています。
【まずはうろこを丁寧に引く】
アサバガレイのうろこは細かいので、包丁の刃を寝かせて尾から頭に向かって動かし、丁寧にこそげ取ります。表側の色のついた面だけでなく、裏側の白い面にもうろこがついているので、両面しっかり落とします。ヒレの付け根やふちの部分はうろこが残りやすいので、包丁の先を使って取り残しのないように処理します。うろこを引き終えたら流水で洗い、ぬめりを流してから水気をしっかり拭き取ります。この下処理を丁寧にやっておくと、その後の作業がぐっとやりやすくなります。
【頭と内臓を取り除く】
うろこを落としたら、頭を切り落とします。カレイは頭とエラのあたりに包丁を入れ、関節を狙って切ると楽に落とせます。頭を落とすと内臓も一緒に引き出せることが多いので、残った内臓と血合いをきれいにかき出し、流水で洗い流します。腹の中の黒い膜も臭みのもとになるので、丁寧に取り除きます。洗ったあとは水気をしっかり拭き取ることが、その後の作業をしやすくするコツです。カレイは内臓が小さめなので、この処理は比較的手早く済みます。
【五枚おろしの手順】
刺身や唐揚げにする場合は五枚おろしにします。まず体の真ん中、背骨に沿って縦に一本、包丁で切り込みを入れます。次に、この中心線から外側に向かって、中骨の上を滑らせるように包丁を入れて身を切り離していきます。表側で二枚、裏側で二枚、合わせて四枚の身が取れ、中骨と合わせて五枚になるので「五枚おろし」と呼ばれます。エンガワの部分は旨みが強いので、ふちのギリギリまで包丁を入れて身を無駄なく取るのがコツです。包丁の先で中骨の位置を確かめながら、少しずつ刃を進めると失敗しません。
【煮付け用は丸ごと・干物用は背開き】
煮付けにする場合は、うろこと内臓を取り除いたら、火が通りやすいように表面に十字や斜めの切り込みを入れて丸ごと使います。骨つきのまま煮ることで、骨から良い出汁が出て深い味わいになります。干物にする場合は背開きか腹開きにして、内臓を取り除いてから干します。店では、煮付け用には切り込みを入れた状態で、干物用には開いた状態でお渡しするなど、お客さんの用途に合わせて下処理しています。家庭で内臓処理までやるのは手間ですから、そこを引き受けるのも魚屋の仕事だと思っています。
【捌くときのコツと注意点】
アサバガレイを捌くときは、よく研いだ包丁を使うことが何より大切です。カレイは身が薄い部分があるので、切れない包丁では身が崩れてうまくおろせません。毎日仕込み前に包丁を研いで切れ味を保つことが、美しい身を引き出す大前提です。また、中骨やエンガワのあたりは骨が硬いので、無理に断ち切ろうとせず、関節や骨の隙間を狙って包丁を入れると楽に処理できます。平たい体に慣れるまでは戸惑うかもしれませんが、骨の構造さえつかめば、誰でもきれいに五枚おろしができるようになります。
【まとめ】
アサバガレイはうろこを両面丁寧に落とし、頭と内臓を取り除いてから、用途に応じて五枚おろしや丸ごと、背開きにするのが基本です。刺身や唐揚げなら五枚おろし、煮付けなら丸ごと、干物なら背開きと使い分けます。よく研いだ包丁を使い、骨の構造を意識して包丁を入れれば、家庭でもきれいに捌けるようになります。上品な白身が魅力のアサバガレイ、ぜひご自身で捌いて、その美味しさを存分に味わってみてください。
魚の捌き方はおととチャンネルで解説しています。
